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今日のつぶやき 2010/11/01｜メタボリックシンドロームのメカニズムブログトップ

抗生物質で風邪は治らない？？　[知っておきたい薬剤の話] [編集]

抗生物質で風邪は治らない？？

人間の体に感染してさまざまな病気を引き起こす病原体の代表は、細菌とウイルスです。風邪の原因のほとんどがウイルスによるものですが、細菌とウイルスにはどのような違いがあるのでしょう。どちらも抗生物質で治療することができるのでしょうか？

細菌とウイルスの違い

人間の体には、多数の細菌が住みついています。しかし、その多くは無害か、人間にとってよい役割を果たしているものです。特に腸内には、約400～500種類、約100兆個もの腸内細菌が住みついていて、腸内の内容物を分解したり、ビタミンを産生したり、免疫にも関与しているといわれています。乳酸菌やビフィズス菌のように、多くの細菌は人間の体に対して害を与えることなく、病原体の侵入を防ぐなど有利に働きながら、うまく人間と共存しています。

しかし、大腸菌やウェルシュ菌など一部の細菌は、体内で毒素を排出し、病気の原因となります。

ウイルスは、細菌よりもさらに小さく、普段は体内には存在していません。遺伝子だけを持っていて、基本的に他の生物の細胞に取りついて増殖し、病気を引き起こします。

細菌とウイルスの大きな違いは、自分で増殖できるかできないかということです。細菌は自分の遺伝子とそれを複製するための工場（細胞）から成り立っていて、自分で増殖することができます。一方、ウイルスは自分の遺伝子はもっていますが、それを複製するための工場（細胞）がないため、自分で増殖することができません。そのため、他の生物の細胞を利用して増えるのです。いわゆる寄生体のようなものです。細菌とウイルスは、それぞれ感染した時の治療方法も異なります。

細菌を攻撃する抗生物質とは

抗生物質とは、微生物がつくり出す科学物質をもとに作られた薬で、細菌の増殖を制御したり、死滅させたりする物質のことです。1929年に発見されたペニシリンが世界で最初の抗生物質です。ペニシリンはカビ菌からつくられ、肺炎や敗血症、破傷風などの感染症の治療に驚くべき成果を上げ、奇跡の薬といわれました。抗生物質には細胞壁の合成阻害作用があり、細菌の増殖を抑えるには効果的ですが、細胞壁をもたないウイルスに対しては効果がありません。

ウイルス感染の治療方法

一部のウイルス（B型肝炎、C型肝炎、ヘルペス、インフルエンザ、HIVなど）に対しては、抗ウイルス剤が使用されますが、抗ウイルス剤がないウイルスが多いのも実態です。そのため、ウイルス感染による治療は、現れている症状を和らげる対処療法が中心となります。

また、ウイルス感染の予防にはワクチンが有効です。ワクチンとは、病気の原因となるウイルスを不活化あるいは弱毒化したものを体内に注入し、自然に体が抗体をつくることにより、ウイルスの感染を予防するものです。インフルエンザ、日本脳炎、ポリオ、麻疹（はしか）、おたふく風邪、風疹（ふうしん）、水痘（すいとう）などのさまざまなウイルスに対するワクチンが広く使われています。

風邪には薬が効かない？

風邪の原因の90％はウイルス感染によるものです。しかし確認されているウイルスだけで200種類以上あるので、どのウイルスに感染したか特定することはできません。

風邪は原因が特定できないため、医学的には「風邪症候群」と呼ばれ病原菌の侵入によって気道が炎症することで起こるさまざまな症状を指しています。病原菌の種類が違っていても、その症状は共通していて、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰、発熱、頭痛、全身の倦怠感などが現れます。

風邪は原因となるウイルスを特定できないため、抗ウィルス剤がありません。風邪薬は、ウイルス感染によって現れる症状を緩和するための薬であって、風邪を根本的に治す薬ではありません。

風邪の際に抗生物質が処方されることがありますが、これは風邪によって免疫力が低下することで、細菌による二次感染（気管支炎、肺炎、中耳炎）が起こりやすくなるため、その予防と治療が目的となります。

風邪の治療には、その人の抵抗力、免疫力を高めることが最も良い方法です。そのため、十分な睡眠、安静、保温、そしてしっかり栄養を取ることが大切です。